「じゃあお前がやれよ」論法は的外れ!?何がおかしいのか?




ゲームの実況動画につきものの「下手くそ」コメント
それに対する「じゃあお前がやれよ」はもはや様式美と言える位ネット上では定着していますが、

この、「お前がやれ」という指摘、何か間違ってませんか?

下手と言うならお前がやれ

よく動画サイトで見ますよね、このやりとり。

「下手だな〜」→「じゃあお前がやれよ!」
「こうすればいいのに」→「じゃあお前がやれよ!」

もっともなようで、実は何度も論破されているこのやりとり、
何がおかしいのでしょう?

技術は無いが、目がある

あ!いけ!今だよ!
あ〜〜下手だなぁ、なんでそこまで来てまともなシュート打てないんだよ。
まーたスポーツ観戦しながら文句を言ってるのね。
そんなに指摘するならひろしが日本代表になればいいんじゃない?
いや、無理だよ。
プロのスポーツ選手みたいに上手にプレイ出来るわけないじゃん。
いや、まあそうだけど、偉そうにあーだこーだ言ってたからさ。
僕自身がやればここでまともなシュートなんて撃てないけど、
僕はこういう場面でちゃんとゴールに入れられる上手な選手を知ってるんだよ。
決して「僕と交代しろ」と言ってるワケじゃないもん。
やべえ、こいつメンドイな。

「お前がやれ論法」ですね。
そう、自分には出来なくても、それを評価する目を持っていることは往々にしてあるもの。
「下手だな!」という発言の手前には(もっと上手くできる人と比べて)という
言葉が入るのです。決して「(俺よりも)下手だな!」と言った訳ではない。
なのに返ってくる答えは大概「じゃあお前がやれよ!」なのです。
そうじゃないんだよなぁ…ってなりますよね。

料理はしないがこれは不味い

もう一つ分かりやすい例を見てみましょう。

さやちゃん、この肉じゃが、正直あんまり美味しくないよ。
ンだと?
ジャガイモを煮込む時間が足りないからちょっと固いし、
肉の臭みが少し残ってる。
味付けも全体的に薄すぎるからもっと…
アアアアア!そんなに舌が肥えてるならひろしが作ればよかったじゃん!!
いや、メシ作れるのと舌が肥えてるのは違うでしょ。

これも「お前がやれ論法」
365日、生まれてからほぼ毎日食事をしているのだから、
誰だって美味しいものと不味いもの位分かる。
どう不味いのかもある程度説明出来るけど、料理はしたことない。
そんな相手に「お前が作れ」は的外れ。
俺ならもっとうまく作れたのに、と言ったわけじゃないからです。

言われた側からすると「私はやらないよ?」

ゲームでもスポーツでも料理でも、
「下手くそ!俺と代われ!」と言ったわけでもないのに、
いきなり「お前がやれ!」と言われると、「なんで自分に振るの?」となるわけです。
あくまで批評しただけなのだから。

そして大概「そうじゃないんだよなぁ…」という思いから、反論をして
ずぶずぶと意味のわからない議論のような口喧嘩のような状況に陥るのです。
Youtubeキッズにありがち。




何故こうなるのか?

今までのやり取りはショートコントとしても、
確かに出来もしない奴に偉そうに言われるとカーッとなって、
ならお前は出来るのかよ?位言いたくなるわよね。
そうだね。特に指摘してきたことが相手に出来ないことだと分かっていると、
余計に腹が立つよね。
そうなると反射的に言いたくなるわよね。
お前がやれ!どうせ出来ないでしょ?って。
つまるところ、本当に言いたいのはその後半の台詞なんだよね。
どうせ出来ないのに口は達者だな、
出来ないのに偉そうだな、
なんでそんなに上からなんだよ、
確かに、怒りに任せて「お前がやれ!」とは言うものの、
本音は別に相手に代わって欲しいワケじゃないもんね。
言いたい核心は「出来もしないくせに!」だわ。

「お前がやれ論法」を使う人はが本当に言いたいのは、
要は「出来ないやつは偉そうにするな!」ということ。
出来ない人が上から指摘してきたり、指摘しているのを見ると腹が立つんですね。
でも、そもそもなぜ「出来ないくせに指摘する」のは見ていて腹立たしいのでしょう?

出来ると出来ないの上下関係

僕は絵描けないけどピカソの絵って下手だよね。
確かなデッサン力に裏打ちされた崩し方か何だか知らないけど、
あれは下手絵だよw
なんか腹立つわね。

何かが人より出来るということは、
その分野において、人より経験を積み、練習をして、苦労したということ。
つまり上手な程その分野では偉いということ。

そこに、偉くも何ともない初心者が上から目線であーだこーだ言ってきたらどうでしょう?
本人は「初心者のくせに!」と思うし、
周りは「初心者風情が上級者に指図するな!」と思うわけです。
つまり、上下関係を無視するなということです。
それは先輩にタメ口をきく後輩を見た時の腹立たしさにも似ているのでは?

反論する側の適切な言葉は?

何度も言った通り、
「下手くそ!」→「じゃあお前がやれよ!」
という返しは的外れであり、なんの意味も持ちません。

じゃあなんて言えばいいのよ?
パンチ力は下がるけど、いい言葉を考えたよ。
なんて言うの?
「言い方考えろよ」
お、おう…弱くない?



言い方考えろよ

好きなゲーム実況者が下手だと言われて叩かれるのを見て発狂する人、
メシが不味いと指摘されて激怒する人、

投げやりに「じゃあお前がやれ!」と言うのではなく、
これからは「言い方考えろよ」で行きましょう。
その後にきっちりと補足を入れれば、ぐうの音も出ない正論が生まれます。
ではさっきのショートコントをもう一度。

ジャガイモを煮込む時間が足りないからちょっと固いし、
肉の臭みが少し残ってる。
味付けも全体的に薄すぎるからもっと…
あのねひろし、バカじゃないんだから言い方考えなさいよ。
料理しない、出来ない人間に指摘だけされるのは不快だわ。
お前がやれと言ってもどうせ無理なんだから、
せめて私が不快にならない伝え方してくれるかな?
料理のモチベがくそ下がるわ。
あ、すみません、調子乗りました…。
・・・ぐうの音もでないね。
ほんとね!

言い方が悪いに尽きる

「お前がやれ論法」を使う人は結局、
分不相応に偉そうな相手の発言に怒っているんです。
偉そうな指摘された時、もしくは指摘している人を見た時、
パッと思いつく言葉の中で最もパンチ力のあって投げやりな、
「そんなに言うならお前がやれよ!」という言葉が最初に出がちですが、
本当に反発すべき点は相手が分不相応に偉そうに振る舞ったこと。
そこが意識できれば、「お前がやれよ!」のあとに続く無駄な議論に人生の大切な時間を割かなくてもよくなります。

まとめ

棘のある言葉には棘のある言葉で返したくなるものです。
毒をもって毒を制すのです。

でも、「お前がやれ論法」は間違い。
料理は出来なくても不味いメシは分かるのだから。
指摘してきた人にやらせるのは的外れなのです。

問題とされるのは、出来もしないのにあまりにも偉そうに指摘するという
分不相応で非礼な態度であって、しばしば対立が起こるのは
指摘する側の言い方に問題があるせいだと思われます。

だから、今思いつく最強の反論は「言い方考えろよ。」
「もうちょっとわきまえろ」とかでもいいかも知れません。
うまく補足すれば「お前がやれ」よりもずっとずっと、
ぐうの音も出ない正論が言えると思います。

何より、おバカな口論をする前に、
お互いソフトに言いたいことを伝えられるように心がけたいものです。